不汗党がマジで良かったって話

↓ネタバレどころかラストまでがっつり触れてるので気をつけてください。

Twitter韓国映画「不汗党」が良いっておっしゃる方が沢山いて、観なきゃ観なきゃと思っていてやっと観に行けた。
日本では名もなき野良犬の輪舞というらしい。チケット買う時にこれが言えなくて、題名もわからない映画を見る変な人になってしまった。日本でも不汗党で良かったんじゃないんですかね?


題名の話はどうでもよくて、主演はソル・ギョング、イム・シワンの二人。
ギョングさんの方は見たことがない方だなーなんて思ってたけどとんでもない。
こちらも衝撃作「殺人者の記憶法」の主演俳優だった。観てる途中では気がつかなくて終わった後に急に思い出した。マジで別人。普通に「殺人者〜」は最近見たのに、60代の方だと思ってたからアクションをバッチリこなせる年齢だったなんて考えもしなくて「殺人者〜」のアクションも全部スタントだと思ってました。申し訳ない。振り幅が化け物。怖すぎる。

シワンくんは、ずっとZE:Aで(このグループって一応解散してないですよね?あれだけ個人が売れてるのに一位取れないのが不思議だった)活躍してるのを見ていて、彼のドラマデビュー作も大好きな作品だったので本当に楽しみにしていた。今回よく聞いた感想の中に、「シワンくんなしではこの映画は語れない」といった類のものが多かったので期待しかなかった。
けど、本当に期待以上。なんとなくナヨナヨしたイメージが強かったのに綺麗な顔したマッチョになってた。あと目の演技がとにかく上手で、目がくすんで冷め切っていく様がとにかく最高だった。

私は韓国映画で特に男性がバディを組むような作品って、日本映画にも海外映画にも感じない特殊さがあると思っている。ただの「友情」「家族愛」で済ませられない「愛情」というか信頼からしか生まれない情の深さを描くのが本当に上手だと感じることが多いが、今回の作品ではそれが顕著に表現されていた気がする。
この映画ファンの方で彼らが愛し合っていたと形容することが多いのが納得できてしまうほど、主演の2人の間には家族よりも友情よりも深い愛を感じた。

例えば、シワン演じるヒョンスがピンチの時に「チャギヤー。お待たせー」と颯爽と登場するギョング演じるジェホ。

ヤバくない??? 控えめに言って、チャギヤーって何。すごいパワーワード。この瞬間めっちゃ頬が緩んだ。
花火ではしゃいだり、1つの牢屋で過ごしたりとにかく恋人という言葉が似合うほど一緒に行動する。
そんな2人が薬の密売人と刑事でお互い騙し合う立場なのに、あるキッカケでどんどん惹かれあってバディを組んで裏社会で暴れまくる映画前半は本当に見ていて胸が熱くなったし、ずっとこのシーンが続けば良いのにと願ってしまった。
あるキッカケというのはヒョンスの最愛の母の事故死なんだけど、実はそれを仕組んだのはジェホで、ヒョンスは母の亡き後この世で一番信頼していた父親のようで友人のようで旦那?のようなジェホに騙されてたことを知ってしまう。
ここからが映画の後半戦みたいなものであり、この映画の醍醐味なのかなと観ていて感じた。人をずっと信頼できずにいたジェホを無条件で信じると言ってくれたヒョンスが、真実を知ってジェホにとった行動には涙が止まらなかった。
なんとなくだけど、ジェホもヒョンスも互いに相手が自分を殺してくれることを願っていたような気がした。心の奥から信頼してしまっている人を恨み、恨まれ、裏切り、裏切られなきゃいけないのならばいっそ殺してほしい。それが野良犬たちの究極の愛の形なのかなと、死ぬことでお互いの信頼を見せようとしているのかなとすら感じた。

結局ヒョンスが生き残り、実の上司もジェホも殺した。
でも実の上司にあたる主任に対しては、なんの躊躇もなく銃で弾が切れるまで打ちつづけて殺したのに、母と同じく車で轢かれたジェホに対しては、彼の命を最後まで肌で感じるように殺した。ここに結構グッときてしまって、冷静に見ると、あとで現場に自分がいたという痕跡を残さないために手で窒息死させたと考えられるけど、私はこのシーンで映画の冒頭でコ会長の甥が言っていた話を思い出した。
「人間が罪悪感を持たずに人を殺せるようになった。それは道具が変わったからだ」
こんな話だったと思う。彼は、石で殺していた時代よりも銃で殺す現代社会の方が罪の意識が薄くなると言っていた。
ヒョンスはジェホに対して銃を使わずに一番原始的な手を使った殺し方を選んだ。
もしかしたらヒョンスの彼に対する思いが彼の生きていた証拠を感じるためにあえてそうさせたのかもしれない。

ジェホはヒョンスに殺される直前に「俺と同じ失敗をするな」と言った。
これは人を信じるなということだろうか。
ヒョンスはその助言に対して頷いた。そしてその決意をジェホを殺すという行動で彼に示したように感じた。
ヒョンスは間違いなくジェホの後を継ぐだろう。人を信じず、状況だけを信頼する男として孤独と戦うのだ。愛情を知ってしまっている人間がそれをなくして生きるのはどれほど残酷なことだろう。ひとりぼっちになった最後のヒョンスの涙がとても辛かった。


とにかく幸せなヒョンスとジェホを目に焼き付けたい。言葉がわからなくてもいいから今すぐ韓国のインタビューとか見たい。2人が笑顔で共にいられない世界なんて意味がない。。
と鑑賞直後から久々にオタクの血が騒いだ良き映画だった。ぜひ全てのオタクに見てほしい。残酷描写は多々あるけど、オタクの大体は見たあと天を仰ぎます。マジで。上映規模が小さすぎて詰んでるけどみんな見て。

NCTは捨て駒なのか

タイトルがちょっと韓国のニュースサイトみたいになってしまった。


今回私が書き殴りたいのは泣く子も黙るSMエンターテイメントからデビューした末っ子グループNCTについてだ。
私がNCTのファンになったのは1年前。たまたまツイッターで見かけた「無限的我」のティーザー画像のマークに興味を持ったところで一気に沼に足を入れた。NCTの前身?であるSM ルーキーズの存在はケーポオタとして発足当時から知ってたし、劇場公演をしているのも知っていた。だけどチェックはしなかった。SMルーキーズはあくまで練習生。性格上、気になると歯止めが効かなくなるからジャニーズJr.のような正式にデビューしていない存在はなるべく見ないという謎のマイルールを持つ身として追うわけにいかなかった。
私が意地を張っている間にSMはルーキーズをNCTという大きな母体グループとして構成し、1年間で3つのユニットを作りデビューさせていた。
今思えばUの第七感も、127のデビュー曲である消防車も好きだったからもっと早く追っていればよかったけれど、127にメンバーが追加される時期にハマれたのはタイミングとしてはなかなか良かったと思っている。
そんなにわかだけど、にわかなりにこのグループに今このタイミングで言いたいことがある。


NCTの最大の特徴として基本的にメンバーの固定がないというものがある。SMのいう無限拡張ってやつ。いつどのメンバーがどのユニットで活動をしても良くて、前のユニット活動にはいたメンバーが次の時にはいないなんてこともオッケー。ただ最初に結成されたUというユニットは与えられる曲に合うメンバーを選ぶため流動性だが、NCTの軸とされソウルを中心に活動する127のメンバーは基本9人のメンバーで固定されている。そしてDREAMというユニットは未成年のメンバーで構成されていて、成人すると自動的にメンバーから除外されるといった細かい制限はある。


言葉だけで説明するとこういう感じなのだがわかりにくいし、仕組みはわかるがなんだよそれって話が多すぎる。定義がゆるゆるというか、とりあえずやってみました感がすごい。
そもそもNCTという母体に含まれる人間はデビュー予定を含めて今何人いるのか。どの程度の人数にするか構想段階で決めたのか。
どんな条件の子達が所属できるのか。ルーキーズとして劇場で活動していた練習生なのか、事務所が新たなルーキーズとして存在を知らせている練習生も入るのか、はたまた事務所が抱えている練習生なら名前と顔が公開されていなくても全員その資格を持つのか。(全員が資格を持つならば、もうボーイズグループを新たに作るつもりがないのか。)
一回でもNCTとしてデビューした練習生はたとえそれ以降メンバーに選ばれなくてもNCTという枠組みに縛られっぱなしなのか。
デビュー組においては先行きが不透明だ。DREAMのメンバーで成人した子達に次のユニットは用意されているのか。最初に卒業するであろうマークは127所属だから良いが、それ以降はヘチャン以外どこのユニットにも属していない。彼らはどうなるのか。Uにしか所属していないメンバーはどうするのか。
ファンをやっていると疑問や不安が尽きることがない。どうプラスに捉えても、メンバーの無限拡張なんて聞こえを良くしただけで、先輩グループのEXOで脱退者が連続して出たためにNCTでは脱退という概念を無くそうとしているだけではと勘ぐってしまう。
また不安の要因として今のところ、このグループを売ろう、自分たちは成功するぞといった会社とメンバー双方の気合いというものを正直感じない。それはもちろん持っているのだろうけど、EXOのWOLF活動時のこの曲で売るんだ、俺たちは売れるんだという気迫には到底及ばないと思う。
でもそれはメンバーが悪いわけではない。 仕方がないと思う。
だって、127は固定メンバーでソウルを中心に活動するとされているけれど、他のユニットだってソウルで活動してる。固定メンバーだとか言われてるけれどメンバーによってユニットの掛け持ちをしてるし、一番多い子は3〜4つ所属しているのだ。こんなに設定がぐっだぐだなんだから、私がメンバーだったら訳がわからないというか、何でこんなことになってんだろうって思う。NCTがカムバックですと言われて、そのカムバックに自分の名前がある確証がなくて、結局カムバックが新しいユニットで、自分がそこのメンバーに選ばれなくても理由がわからなくて、同じグループの仲間はユニットごとにたくさんの曲を歌えるのに自分には数曲しか手持ちがない。実力がないんじゃない。人気が劣っているわけでもない。ただ会社の判断だ。それなのにNCTの1人としてこれ以上何を目標にして頑張れというのだろう。未だに不平を言う子がいないのが不思議だ。自分だってもっと自由に活動したいと言う資格が全員にある。これじゃただの飼い慣らしだ。
ユニットをいくつも抱えている子だって決して楽じゃない。選ばれることは嬉しいけれどイコールそれは休む時間がなくなるということ、他の仲間が選ばれなかった分自分に重圧がかかるし、何でまたという心の無い言葉をファンにかけられることもあるだろう。今は選ばれているけれど全部会社の采配だから、会社がその子に興味を失ったら急に声が掛からなくなる可能性だって高い。どのタイミングで選ばれなくなるのか、常に不安と隣り合わせだ。

メンバーにばかり焦りや不安が募るNCTというグループは、SMにとって子供の時のお人形遊びのような感覚なのかもしれない。取り敢えず自分が手に入れた新しくて性能の良いお人形(練習生)をみんなに見せたい。好きな人形を使って自分がやりたい遊びをしたい。最初はお気に入りの人形で遊ぶけど必ず飽きがくる。だったらまた新しく良い人形を手に入れればいい。今までの人形は放置して新しいので遊べばいいのだ。
無限拡張という規定はまさにこのお遊びがやりやすく今はまだその例が見られないが、会社が興味を失ったメンバーを簡単にフェードアウトさせられるし、一押しのメンバーをどんどんテレビに出すこともできる。
マークやテヨンなどの今押されてるメンバーたちだって、将来的に会社の方針で露出を減らすことがないとは言い切れない。
基本的に今までもSMは推したいメンバーとそれほどでもないメンバーへの扱いの差が激しいように感じていた。それでもそれは人気の指数に従ったものが多かったからしょうがないかなと思ってた。でも、まだNCTは人気の有無がはっきりわかるほど売れてない。そう、まだSMらしい売れ方をしていない。今までのSMのやり方だったらもうヒットしててファンダムが強固になっていてもおかしくないほどの実力を持った子達ばかりがいるのに、おかしなシステムのために何となく火がつかない。
このまま今年もお遊びを続けるのだろうか、続けるんだろうな。今年4つ目の新しいユニットを作り、新しいメンバーがそこに加入することが伝えられている。2018年の最初が新ユニットだと聞いてから私には、7月から3年目を迎える127がヒットするビジョンがどうしても見えてこない。
たとえ方針を変えてEXOのように完全体にしてNCTで出すつもりだとしても、もう所属人数が20人近くになる。流石に多い。主体となる127よりも新しくできたユニットをヒットさせようとすることも考えられるけどそれってすごい複雑。いつのまにかNCTはどのユニがヒットしても複雑という闇に包まれつつある。Uが売れてもメンバーが固定じゃないと宣言している時点で次がない。そもそも127の意義が薄れてしまう。DREAMが売れてもメンバーが卒業するからやっぱりそのままの勢いで売れない。固定メンバーである127が売れるのが一番良いんだけど、そこだけの活動にシフトするとじゃあ何でユニットを乱立させたって話になる。
だったらもともとNCT127としてそれだけをデビューさせれば良かったじゃないか。他のユニットに駆り出された子達はどうなる。また練習生に戻して再デビューさせるのか。そういうわけにもいかない。売れても売れなくても誰かしらが苦しくて、辛い思いをすることになる。新しいユニットが成功してほしい。起爆剤になってほしい。でも既存のユニットがもっともっと成功してほしい。ファンだって葛藤の連続だ。
SMはこうなることを見越していたのか、ただ自分たちの自己満足のためにこの状況を作り出したなら、人様の子供を使ってその子たちの夢を利用して何がしたいんだ。練習生は私物なのか。捨て駒なのか。
やっぱりこの事務所は昔っから何にも変わってない。どうしても人材を大切にしない。打開策を考え出しても前例を見る限りどうせロクなものじゃないだろうなんて怒りがこみ上げる今日この頃である。
本人たちが一切悪くないのにここまで混乱してるグループに新規がつくのか。ヒットが出せるのか。未来にメンバー全員の笑顔があるのか。ないと困る。もう全員という定義すら明確に定められないけれど、推しという人質がいるからどうしてもこのグループにはヒットしてもらわないといけないのだ。それによって事務所が調子に乗って更にこのシステムの被害者が増えたとしても。
[追記]
私が心配だったメンバーの1人、テンくんが今回の新ユニットに参加するようですね。ダンスの実力者が加わってくれて嬉しいです。ユニットの成功を祈りたい気持ちが少し強くなりました。

https://youtu.be/WkuHLzMMTZM

K-POPファンが初めてジャニーズのライブに行った話

日本人に生まれた身として、ジャニーズにハマるというお約束みたいなオタク人生を歩みかけたものの、気がつけば東方神起に落ちそのまま早10年。韓流オタクとしてライブ参戦などのオタクライフを満喫していたが数年前にあるジャニーズグループの茶の間ファンになり、先日ついにライブに行ってきた。オタク人生初のジャニーズのライブだ。そして担当グループはデビュー20周年から再ブーム到来かと言われ、歌って踊れる最年長グループとして突っ走っているV6だ。

今まで、個々のメンバーの舞台は参戦してたのだが、これが本当に初めてのライブ。

 

 

正直に言う。

 

 

 

舐めてた。

 

KPOPのグループは歌が上手く、ダンスもバッキバキ。日本のグループなんて、ジャニーズなんて、顔がいいだけのそこら辺のお兄さん。

 

なーんて思ってるそこのあなた。

V6のライブに行ってくれ。そして日本のエンターテイメントはまだまだイケる。捨てたもんじゃないと知ってほしい。

私の拙い文章とボキャ貧ぶりでは感動を伝えるのは難しいかもしれない。でも伝えたい。だからネタバレが可能な方は、最後まで読んで貰えたら嬉しい。

そして少しでも気になって、V6見たい!!!ってなったらWOWOWと契約して欲しい。

そう、今回のライブ(そして2015年度のライブ)はWOWOWで11月25日 18時30分から今回のライブに密着した特別番組が 、19時30分から今回のライブが放映されるのだ。ジャニーズのライブがテレビ放送で見られる時代が来た。このチャンスを逃さないで欲しい。

 

という露骨な番宣をしたところで、今回の参戦した驚いた点、感動した点を列挙していく。

 

①ステージの造りが最高

 

今回参戦したのは横浜アリーナでの公演。アリーナ・スタンド1階・2階というオーソドックスな客席。そしてメインステージと、花道で繋がったサブステージ。これまたオーソドックスだが、しかし、花道のど真ん中が円形になっており、そこがグルグル回転したりせり上がっていく第3のステージになっていた。私はビギナーズラックなのか、この第3のステージのほぼ真横のアリーナに入らせていただいていたため、ライブが始まってから彼らがそこに移動して来たときには死ぬかと思った。まさか花道のど真ん中がステージなんて信じられるか?どうせここで左右二手に分かれてちょっと手を振ったら即サブステージに移動だろうと、高を括っていた私が彼らがそこでなぜか回り始め、ステージが上に行った時にどれほど狼狽えたことか。なんだこれ。近い。普段正面からしか見られないフォーメーションが横から見られる。なにそのアングル最高。しかも真上には巨大なシャンデリアのような照明器具がぶら下がっており、V6がその中で

踊るのだ。籠の中の鳥のようなアイドル。最高。もちろん、メインステージもサブステージも満遍なく使うから三ヶ所で彼らのパフォーマンスを堪能することができた。

さらに特筆すべきは、トロッコの豊富さだと思う。アリーナの周りを回るコースのトロッコかある。わかる。見たことある。ちゃんとアリーナの真ん中を通るコースも用意されてる。な、なるほど。アリーナに至れり尽くせりだな。

2階席のほぼど真ん中を通るトロッコがある。

あーなるほど、、、、?????

 

2階???

 

2階にトロッコ???

 

たしかに、2階席はステージ全体を見渡せて楽しめる席だとは思う。だがしかし、やはりメンバーとの距離は遠め。2階席だってライブだから近くでメンバーが見たい。トロッコとかが目の前に来てくれたらなー。

2階席になったオタクなら誰しも一瞬はライブ中にこう思うはずだ。

そのトロッコが、、、2階にあった。 しかも4台。

ファンになるべく会いにいく。V6は会いに来てくれるアイドルだった。

 

②MCがマジで楽しい(そして長い)

 

日本のアイドルとKPOPアイドルとの違いとして、言葉の壁がないというのが挙げられると思う。これは当然のことだけど、今やMCを全部日本語でやってくれるグループは少なくないし

、韓国語で話されても通訳はいるし、こっちがある程度韓国語をヒアリングできれば十分楽しめる。そう、もちろんそうなんだけど、

 

やっぱりおじさんたちめちゃめちゃ面白いんだ。20年以上やってるとネタが豊富でなんか小慣れてるし、盛り上げ方もソリジローって、またそれなのー(叫ぶけどさー。みたいなこともないし、メンバーがみんな(好き勝手)話すし、なによりも仲の良さがひしひしと伝わってくる。本来ならばファンが勝手にやるようなカップル推しをメンバーたちが平気でぶっ込んでくる。この人たちニコイチだからー、俺のこと大好きなんだよこの人 、俺たちこの間キスしてさー(写真まで公開)etc  仲の良さアピールが半端ない。そして自分たちで発信しておきながら照れる。このスレてない感じはなんなんだ。なんで客よりテンション高く反応するメンバーがいるんだ。捌けるまで永遠に楽しそうに喋ってくれるからバラエティを見ているようにゲラゲラ笑ったし 、こんなにリラックスしながら聞くMC初めてすぎた。

そんなMCが20分ほど続く。測っていないので正確にはわからないが、とにかく長め。そのかわり明確なMC(客を座らせる)はこの一回のみ。そう、一回だけなのだ。

平均年齢40歳のグループが2時間半のライブでパフォーマンスをしないのがわずか20分という事実。。。

 

③おじさんたちの体力

 

というわけで次に驚いた点としておじさまたちの体力面をあげさせていただきたい。

前述した通り、2時間半のライブでトークは20分ほど(もちろんその間も彼らは立っている)

韓流アイドルが必ず入れる本人映像のVCR(またの名をおトイレタイム)は存在しない。衣装替えのために映像が入ることはあったがあくまで演出の一環であからさまな繋ぎという印象はない。短いし、本人たちが謎に原っぱで寝っ転がったり、敵に追われたりしない。(SMあるあるの脈絡ないあれ)

着替えるしか時間がないはずなのに、ジャニーズきってのダンスグループという名にふさわしく、とにかくよく踊る。動いてなきゃ死ぬの?ってくらいよく動く。そしてほぼ生歌。(生歌かどうかクオリティが高すぎてわからない)

なによりもバックダンサーが存在しない。正真正銘彼ら6人だけの世界なのだ。 

おじさまたちは宇宙人か何かなのかもしれない。

推しが40歳過ぎてあそこまで動いてくれたらなんかもう拝むことしかできなくなる。少なくとも私は拝んだ。40歳過ぎてもアイドルやっててくれてありがとう。

そんな彼らのライブにおいて要となっているのが演出。特に照明のクオリティだったと思う。

 

④演出(照明)がレベル高すぎ

 

V6は歌って踊れる。みんなが、だ。もちろんグループ内に歌が特にずば抜けている人、ダンスがずば抜けている人はいる。坂本昌行さんの歌唱力は安定していたし、森田剛さんのダンスは目を惹きつけられて離せなくなる魅力があった。だけど、全員が平均以上に歌って踊れる。ラップ担当はいないが、平坦な印象は与えない。音が外れない。ダンスのリズムが崩れない。基本的なことがしっかりしてる。それだけでも十分に満足できるのに、V6にはそのかっこよさをさらに突き抜けさせることができる素晴らしい演出技術が備わっていた。

 

ファンになりたての頃から聞いていた。V6の演出は変態だと。

変態ってどういう意味よ笑  なんて思ってた。  

 

 

いやー本当にド変態だったんですねー

一曲一曲に合う演出。ただ赤とか白とかの照明を当てるわけではない。レーザー、スモーク、一枚の巨大な板から何枚も(のちにWSで11枚分割と判明)に分割されて上下左右に自在に動くLEDパネルを駆使し、花火のような特攻やカラフルな炎を使いテンションをあげさせ、踊りとリンクさせた映像を随所に散りばめ、一曲が終わるたびに、まるでオーケストラのクラシックコンサートのような曲に対する完成度の高さを味わせる。一曲も捨て曲がない丁寧な仕事、高級感。ときには神のように佇み遠い存在に感じさせ、明るい曲ではファンの近くにきて笑顔で手を振ってくれる頼れるお兄さん感を出してくるバランスのとれたギャップ。ファンが見たいV6を全方位から見せてくれつつ、一つ一つの曲の世界観を壊さないように計算し尽くした演出を織り交ぜる。本当に職人技を堪能した気分だった。(ちなみに今回のライブ28曲中22曲がライブ初披露)

全ての演出が素晴らしかったが、極めつけはカミセン(森田剛三宅健岡田准一の年下組3人)のユニット曲での演出。(曲名は Get Naked)

3人が登場するとともにステージに上から落ちてきた半透明(白っぽい)のスクリーン。これじゃ3人の姿がよく見えないじゃないか、と憤る暇も与えずにスクリーンいっぱいに映し出されたのは、三宅健の顔面ドアップ(モノクロ) 

何とこの演出、3人が各々、自撮り棒をつけたようなハンディカメラで(まるで彼女目線を味あわせてくださるように)自分を撮影し、それがリアルタイムでスクリーンいっぱいにモノクロ映し出されるというもの。各自で推しがかの演出をしたらどうなるか想像してほしい。もう想像しただけで優勝間違いなし。さらに寝っ転がったりしてカメラを自分の上や顔の真横に持ってきて写してくれるんだからもうエロいのなんの。まるでグラビアの写真撮影を自分がしているかのような錯覚に陥ることができる。

さらにだ、

申し上げたように、初っ端から、名だたる清純派女優が名を連ねてきた冬ウォーカー(絶賛発売中)の表紙に抜擢され、その素晴らしさから売り切れが続出し、重版が決定した(らしい)ほどの顔面クオリティーをお持ちの、あの三宅健のスクリーンいっぱいのリアルタイムのドアップ。不敵なスマイル。そしてトドメの歌詞。

「ねえ どんなに逃げようとしたって 僕からは逃げられやしない」

 

 生まれて初めて視覚の衝撃で足の力が抜ける。

制御できない手の震えが発生し小刻みに揺れるペンライト、出そうにも驚き過ぎて出ない声。

そこに畳み掛けるように映る森田剛さん、岡田准一さんのドアップ。

 

ヒトって脱がなくてもエロさ出せるんだって知らなかった。

そんな事実を身をもって体験した私が発することができた言葉はただ一つ。

 

「なんかもう凄すぎてわからない」

 

 

韓流のライブでは必ずと言っていいほど、マスターさんが撮った写真や非公式の映像が存在し、大抵セトリや衣装、演出を把握してのライブ参戦が多い。そして掛け声の文化があるためか、積極的にセトリを予習するファンがほとんどである。

ところがジャニーズ(というよりV6?)ではセトリはおろか衣装の色でさえもネタバレにあたるためSNSには積極的に書き込まないのが暗黙の了解となっている。(MCでのトークを絵に描く人も衣装はTシャツなどを描き、衣装バレありませんと表記する)

当然、演出なんてほとんどの方が口外しないので、ツアー終盤になっても自分から積極的に調べに行かない限りは全く情報がないままなのが普通だ。

だから今回、演出だけで脳が停止するくらいワクワクできたのはこういう情報のない環境を維持するのが容易だったからだし、身を任せるだけのコンサートもなかなか新鮮でこういうのもライブの演出として重要なんだろうなと実感した。

 

⑤お値段なんと

脈絡のない感じでここまできたが、もしかして、もしかして、こんな駄文でもV6のライブに興味を持ってくださった方がいるかもしれない。V6のライブに行ってみたい。でも、お値段が気になる。そんな方もいるだろう。そう、値段。私が驚いた最大のポイントは値段である。今まで貢いできたグループに対して

 

全てが安い(当社比)

 

まずはチケット代。まあ、ライブのだいぶ前に振り込んでいるのだからチケットはライブ当日は実質タダなのだが(オタクの考え)、V6のコンサート、2時間半歌って踊って、練りに練った演出が全曲に付き、アンコールに加えダブルアンコールもあり、さらにバラエティのようなトークまでついてお値段なんと

 

9140円

 

一万円いかない。手数料を抜きにしたら8300円

芸歴20年越えのアイドルが取る料金はこんなものでいいのか。もっと取ってくれないと不安になるくらい安い。

そして、グッズ代。

1番高いTシャツが2800円。

一番安いものがうちわとクリアファイルでお値段何と600円

うちわってやっぱりあると欲しくなるものなのにめっちゃ安い。というか、全商品で一番高いのが3000円しないって。。。

そんな安かったら質が悪いのかと思うじゃない。違うんだなそれが。

例えばショッピングバッグは1800円なのに、ジャンボサイズのうちわがすっぽり入る大きさ。分厚い生地。イラストはプリントではなく刺繍。そう。刺繍だから消えにくい。

片面は無地だから、裏返して持ち歩けばただのバッグ。オタバレしない。最高か。

しかもV6はここ5年以上、2年に1回の周期でしかライブをやらない。

ということは、だ、単純に6人のライブにお金をかけるのは2年に1回だけなのだから、1年にかけるグッズ代としては半分の金額

だから今回のライブでペンライトと、うちわ、ショッピングバッグにポーチを買ったとすると

計5500円

1年分のグッズ代は単純に2で割った2750円

 

もっと取ってくれないと不安になってしまうくらい安い(2回目)

なんて良心的なんだV6。もっと貢がせてくれ、と思った時にはもうライブが終わり、彼らに会えるのは再来年になってしまった。

 

が、

なんと今ならWOWOWに加入するだけで11月25日にV6のライブを体験することができるのだ。しかも23日にはスペシャル番組が無料放送されるという良心の塊っぷり。

 これは観るしかない。観るしかないでしょう。気になったら、今すぐWOWOW V6で調べていただきたい。

私は決してジャニーズがK-POPより優れているとか、いないとか言うつもりはない。けど、海外に目を向けて国内のコンテンツを貶す。そういう態度を取りがちな方(以前の私)は損してるなーと思ってしまうほど、国内のアイドルだって魅力が詰まってる!と証明してくれるグループに出会えたこと。そしてそれが平均年齢40歳、活動休止もメンバー脱退もなく20年以上歩んでくれているおじさまグループでよかったと思う。そんなライブだった。

百聞は一見にしかず。とりあえず騙されたと思ってWOWOWを見て欲しい。(そしてお仲間になれたらいいな)

これが私が一番伝えたいことだ。

みんな11月25日19時30分に会おう。

 

※今回のライブは最新アルバム 「The ONES」の楽曲を多く披露している。このアルバムも良質なので是非聴いてほしい。

あの人が帰ってきた

あの人というか、私が5年間応援していた人。

韓国のアイドル  superjuniorのソンミン

元々、東方神起を応援していた私は東方神起が活動休止した後、悲しすぎて彼らの曲が聴けなくなった。(今でも聴くと涙が出るという後遺症っぷり)

そんな時に出会ったグループがsuperjunior。

決してイケメンとか、ダンスが飛び抜けて上手いとか歌が上手いとかそういうメンバーではなかったけど、すごく努力をする人に見えたソンミンのファンになって、彼を応援し始めた。

彼の声とか、ちょっと舌足らずな喋り方とか、控えめな笑い方が大好きだった。

初めてグループ全体じゃなくて一個人を応援して、彼を中心に置いて他のメンバーを見て、そういうことが只々楽しかった。

当時グループは人気絶頂で、歌をだせば一位を何回もとって、レギュラーや、ゲスト出演の番組もほぼ毎週あって、海外でも大人気で次々に功績を積み重ねていく。そんなグループが大好きだった。

ソンミンもミュージカルという分野で活躍を広げて、歌もなんだか上手くなって、チケットの売れ行きが良いアイドルNo.1にまでなって、自信がちょっとなさそうだった頃と比べてあきらかに堂々とグループの活動もするようになって純粋に嬉しかった。他のメンバーのファンに体重管理ができてないとか、デブだとか言われても、ちょっとくらい太ってて良い。だってこんなに一生懸命やってるから、自信持って頑張ってるからって思ってた。

でも2014年の9月から、私はひたすら水の中に潜っているみたいだった。すごく苦しくて、ずっと泣いていた。

言い訳かもしれないけど、彼女がいることはわかっていた。5月か6月か、彼とお揃いのものをSNSにアップし続ける女の人がいるという話が出ていた。検証写真もあった。別に平気だった。人気アイドルなんだし、そういう人がいたっておかしくないと思ってた。だから、熱愛疑惑からの本人がそれを認める流れも全然平気だった。ちょっと我慢の効かない女性だからあんまりアイドルの彼女には向いてないな、まあすぐ別れるかななんて冷静に分析みたいなことまでしてた。

平気だと思えなくしたのは彼の行動だった。

熱愛が発覚したら、お揃いのネイルの写真をわざわざブログにあげたり、彼女となんでそんなに?ってくらい堂々とデートしたり。

過去にラジオで彼女の愛称を呼び誕生日のお祝いをしていたという事実。ファンからの贈り物を彼女に横流し。彼女は当然それをSNSにアップ。

結婚を発表するタイミングだって最悪で、久々のグループの活動期間中に結婚発表は本当に、心の底から他のメンバーのファンに申し訳ないと思った。自分の推しのせいで、楽しみにしていた活動が汚されていくのを感じた。

自分について来られないファンはいらないといったような態度。自分ことをデビュー当時から応援してくれていた有名なファンサイトに対する仕打ち。

あえて兵役前に結婚がしたかったという彼の本心。

彼は、自分が2年と少し、兵役に行っている間にファンが待っていてくれると思わなかったのだ。彼はファンはどうせ待ってくれないと、奥さんという確実な小さな幸せを手に入れることを望んだのだ。

全てが信じられなかった。5年も応援していたのに。彼にはファンはすぐに消えていく存在としか思ってもらえなかったのだ。信頼してもらえなかった。むしろ、彼はファンを邪魔だと思っていた。彼が自信を持てるようになったことを勝手に喜んでいたのに、馬鹿みたいだ。彼は全く自分に自信を持ってなんかいなかった。

自分の応援は彼の自信に繋がらなかった。

国が違うし、そもそもアイドルに自分の応援が直結する訳がないと知っているわかっている。でも、それでも辛かった。こんなにもプロ意識のない人を応援していた自分が滑稽だった。恋愛だって結婚だって自由にすれば良い。でも、他のメンバーに迷惑をかけたり、今まで応援していたファンを邪魔者扱いするのはあまりにもひどい。

私は、応援することで彼を苦しめていたらしい。ファンは彼の重りで、身体中に巻きつく鎖だった。

そこまでわかってしまって、そう思ってしまってまで彼の応援は出来なかった。

結婚発表をする前に申し込んだ最後のライブで、私は泣いた。あんなに苦しいライブは初めてだった。こんな状況にしてしまって周りのファンに申し訳なくて彼のうちわが持てなかった。上げられなかった。

「THIS IS LOVE」という後続曲が彼の声、雰囲気にぴったりで、これで何もなかったらきっと彼の人気はもっと上がっていたのになと思ってまた泣いた。

twitterのトレンドに彼の名前があって、思い出したただの戯言。若気の至り。

もう誰も応援したくないって思ったのに、何故かまだアイドルオタクをやっている。でも彼のおかげで距離感は学べたかな?(強がり)

ヒメアノ~ルを見た感想を熱意だけで書いた

森田剛さん主演の映画「ヒメアノ~ル」を見てきた。ネタバレ凄いありますけど熱量のままに感想書きます。

 

 

 

 

映画館に行く前は、残酷過ぎて試写会で途中退席をする人がいたほどだったとTwitterで見ていたものの、私はⅤ6ファンとして鑑賞することを本当に楽しみにしていた。

だって、森田剛の演技が1000円台で見られるんだもん!!

これまでの森田さんの主なフィールドは舞台だった。正直、舞台のチケ代は学生には辛い。観に行きたくても諦めなきゃいけないことが多かった。だからこそ、安価な映画は嬉しかったし、何回観に行こうかな とさえ思っていた。

 

結論から言おうと思う。私はもうこの映画は観たくない。無理。

 

想像以上に恐怖を感じる映画だった。観終わった後はひたすら気怠く、周りを行く人すべてが恐ろしかった。翌日は、友人たちに「今日疲れてるね。どうしたの?」とか、「具合悪いの?大丈夫?」なんて言われた。

 

スクリーンの中にいる男性は、確かに私が応援しているⅤ6の森田剛さんだった。

少なくとも、最初のカフェのシーンでは私は彼を「剛君」だと認識していた。

でもタイトルが表れ、剛君が岡田を殺すと電話で元同級生に告げた時点で、違和感を覚えた。「あれ?剛君ってこんな顔だっけ?」

 

念のため言っておくが、私が急に記憶喪失になったとかそういう話ではない。ただスクリーンの中の剛君が完全に「森田君」になったのだと思う。

私の知っている「剛君」の目は水分量たっぷりでウルウルしている。黒目が大きくてとてもキュートだ。でもスクリーンの中の「森田君」の目は乾ききっていて、何も見えていないようだった。

それが怖かった。ほかの演者の目には光があった。生気があった。森田君は、目が合っているはずなのに合っている気がしなかった。

 

森田君は嘘をつく。しかもまるで当たり前のように、だ。

カフェには初めて来たと当たり前のように言うし、今の今まで吸っていたたばこを、吸っていないと言い張る。警官には自分の身分を詐称する。

普通の人なら狼狽えて当然、目が泳いで当然な場面なのに、森田君は平然としている。

それが「岡田君」の嘘が下手そうな性格と対比されてますますこの人なんかおかしいかもと思わせるのかもしれない。

 

そして我々観客は、森田君に感情移入することができない。森田君は自分の感情を満たすためだけに人を殺めるからだ。性欲、食欲、承認欲求みたいなものもあるのかもしれない。なぜ森田君は人を殺すのか、今どんな気持ちでいるのか、それがまったくわからない。理解できないし、したいとも思えない。なぜ人を殺した後に、死体の真横で夕飯を食べ続けられるのかわからない。ただ森田君に怯えながら、予測できない彼の行動を見守るしかないのだ。

 

 

ここまで森田君を常人ではないかのように言ってきてなんなのだが私は、我々が彼に恐怖を抱く最大は、彼が「どこにでもいそうな普通の人」、「普段の生活で出会うかもしれない人」だからだと思っている。矛盾していることはわかっている。でも彼は普通の人ではないのに、どこか普通の人なのだ。

 

確かに彼は目に生気がないし、平気で嘘をつく。でも決して腕っぷしが強いわけではない。人を殺すときは全体重をかけるし、ありったけの力を込めていてもすんなりとはいかない。現に、パチンコで儲けたお金をチンピラに持っていかれてしまったような描写があった。そのシーンがあることで、森田君は強者ではないことを明確に表しているのだと思う。

 

それに彼は武器の達人でもない。警官から奪ったピストルを発砲して、その音にびっくりしているシーンなんて、彼もやはり武器とは無縁の生活(私たちが暮らす日常)にいるんだと容易に実感でき、森田君に普通っぽさを感じた。

何より彼は僅かかもしれないが待ちゆく人と同じように自我を持っている。正気ではない人間が、岡田君の実家に嘘の電話をして、現住所を聞き出せるだろうか。後半になって無差別に、無計画に人を殺していて狂ったとしか思えない人が実はまだ思考回路が普通の人並みにしっかりしていたとわかったときの絶望感というか、この人は自我をもっているからどうやったって逃れられないだろうという諦めは凄まじいものだった。

 

 

さて最後のシーンだが、もうご覧になった方はどう思われたのだろうか。

私は救いを感じた。最後の最後に「森田君」の感情に少し触れることができた気がした。

「普通の人ではないのに普通の人」

森田君はあくまで普通のどこにでもいる人だった。「いじめ」にあうまでは。

いじめにあわなければ彼は映画のラストシーンのように岡田君とゲームをして毎日を過ごしていたんだろう。ラストシーンの森田君のセリフはそんな「普通だったころの森田君」を思わせた。声が優しく、また岡田君に会える明日が楽しみで仕方がない、と言うような笑顔、「また遊びに来てよ」というセリフ。

一瞬でも、一時的にでも森田君が絶望を忘れて、希望に溢れていた時代を思い出せたのかなと思うと涙が止まらなかった。

 

この映画は決して「いじめ」を否定するための映画ではないと思う。

人は普通に生きていても、ふとした瞬間に「森田君」のようにも「岡田君」のようにもなり得るし、もしかしたら誰かをそうさせてしまうことだってある。そんな人間の弱さを描いているのかもしれない。

ヒメアノール、そういえば意味は「強者の餌となる弱者」

最初は森田君が強者だと思っていたが、森田君自身がヒメアノールだったのかな。

 

他人に鑑賞を気軽に進めることは決してできないけど、ぜひ多くの人に見てほしい映画だった。こんな良い作品で剛君の魅力が広まるのはファンとしては嬉しい限りだ。

 

 

 

初めて自担のミュージカルを観たジャニオタの感想文

タイトルのまんまである。ただひたすら、いかに坂本昌行さんが素晴らしかったかを記録に残したいだけのブログだ。

 

私は、これまで舞台というものに行ったことがなかった。正しく言うと歌舞伎にはよく行くが、ミュージカルというジャンルには全く縁がなかった。(子供向けの演劇は観たことがある気がする。)

そんな私の自担は、ジャニーズの中でも特にミュージカル部門を極めている「坂本昌行」さんだ。彼のファンを名乗る以上彼の出演作は観に行きたい!!

というわけで「MURDER for TWO」を観に行きました。

ほとんど爆笑に近いほど笑ったし、カーテンコールの最中には思わず(たったの一万円でこんな素敵なもの観させていただいていいの?もう少し払いますよ?)なんて、ブイヲタらしいことを考えてしまった。帰り道は疲れ切った顔のサラリーマン全員にマーダーを見たら疲れが飛ぶよって教えてあげたくなったし、顔が思い出し笑いでにやけた。エナジードリンクみたいに最高に元気になれる舞台だった。

 

ここから下はガッツリとネタバレさせていただきながら最高だったポイントを思い出せる限り羅列するけど

 

 

取りあえず最初に登場した時の松尾さんにやられた。

いきなり坂本さんじゃなくて本当に申し訳ないが、マジで松尾さん、イケオジだった。歌も、ミュージカルの出演歴はそれほど長くないみたいだったけれど、すごくお上手だった。器用な方なんだなきっと。今回の観劇での収穫の一つは、間違いなく松尾貴史さんという俳優の演技の素晴らしさを認識できた。ということだと思う。

 

坂本さんは歌がうまい。このことは周知の事実だと思うが、実は声色のバリエーションが豊富でもある。昔のⅤ6のコント番組「Ⅴ6病棟」やそのほかのバラエティー番組でも度々演じるキャラによって声を全く別人に変えていることがあり、その芸達者さに驚いていたのだが、正直なところ今回の舞台で10役を演じると聞いたとき、絶対にあやふやになってしまうだろうと思っていた。一般論として、10人の別人格を1人で演じ分けるのは無理だからだ。

だから始まってすぐの坂本さん演ずる老婆の声を聞いたとき、その完成度の高さに一般論を坂本さんに当てはめてしまった自分を責めた。自担が絶対に完璧に仕上げてくる人だということは知っていたはずなのに疑ってしまった自分が恥ずかしかった。

老婆、女子大生、老人、子供、などなどすべての登場人物が声と仕草だけで次々とその場に現れた。坂本さんがくるっとターンするだけで、横を向くだけで、あっという間に年齢も性別も違うキャラクターになる様は圧巻だった。

特に私が衝撃を受けたのは、中年夫婦の言い争いのシーンだった。坂本さん演じる中年夫婦は妻は夫を見上げるように、夫は妻を見下ろすように身長が設定されていてそういう演出も細かくて素晴らしいと思ったし、夫が巡査に訴えているのを妻が止めようとするシーンは一人で演じ分けているとは思えないほど声が低くなったり高くなったりして、のどを酷使しているんだろうけど、それを感じさせない坂本さんの凄さを思い知った。

もちろん3人の子供のシーンも素晴らしかったし、本当に1人としてキャラクターがかぶって見える瞬間がなかった。男性も女性も人によっていろんな声の人がいるなーと、普段何気なく聞き流している人の声がこんなにも魅力的に感じたことはなかった。

そして坂本さんの歌の上手さを実感したのは、女子大生のステフが巡査に対して「パートナーが必要」と歌い上げるシーン(余談だが、私はここのシーンがディズニー映画のプリンスにしか見えなかった。坂本さんはアナと雪の女王のアナの実写版やろう!絶対かわいい。)最初はただファルセットが心地よくて聞き惚れていたが、ハッとした。気が付いてしまった。この人は裏声で歌ってるんだった。裏声であんな声量なのヤバい。あんな上手いの普通じゃない。

バレリーナが被害者に憎悪を告白するシーンも、子供が歌い上げるシーンも彼の本来の声ではない。(なんなら彼が本来の声で話したの、お客さんに携帯の電源の件で話しかけるときくらいだった気がする。)なのにこんなにうまいなんて信じられなくて、自分が今どれだけすごいものを見ているのか再認識して泣きそうになった。松尾さんと二人でハモるシーンも素敵だった。二人とものびのび歌っていて、観ているこちら側が無駄な力を抜いて聴いていられるほど軽やかで安定感があった。

ダンスも最高だったんだけど、今回はあまりダンスに特化したシーンはなかったので割愛する。(振りの話といえば子供のシーンで、脚を折り曲げたまま開脚したり閉じたりするのはびっくりした。あれ絶対痛い。)でもこれだけは言わせてほしい。「スタイルお化け最高!お尻が小さくてキュッとしてた最高!もっと見たかった!」

 

演出・脚本の面においては、ひたすらアメリカの演出家のお二人に感謝したい。拝みたい。崇めたい。私は今回、全くネタバレを見ないようにして観劇した。だから、どこからが脚本なのかアドリブなのかが全く分からなかった。それほど脚本を感じさせない演者の演技も素晴らしいが、綿密に考え抜かれた脚本があってこそ出来たことだろう。

必要以上の小道具を使わず、ライトと音、演者の演技力、そしてそれらを自分の中でイメージ化させる観客の想像力で作り上げる舞台。ある意味、お客さん一人ひとりも演者の一員になれていた気がする。

 

今回私は、Ⅴ6の坂本昌行さんを観に行くつもりだった。しかし、私が実際に観たのはミュージカル俳優の坂本昌行さんだった。私は、たった二人の俳優さんによってイングランドの殺人事件が起こった屋敷に連れて行ってもらったのだ。

心の底からこの舞台のCD音源が欲しい。映像が欲しい。それほど手元に残しておきたい舞台だった。アンケートにも書いたけど、もう再演して欲しい。禁断症状がでてしまう。

最後に、「上質なエンターテイメント」を見せてくれた自担に感謝しかない。それと同時に40歳を超えても常に進化をし続ける自担の勤勉さには最大限の敬意を表したい。今回はピアノの演奏という難関があったにも関わらず、それをクリアしてきた坂本さんは本当に努力の人だと思う。(どれだけ練習したんだろうと少し怖くもなってしまうけど。)坂本さんに着いていけば、Ⅴ6に着いていけば、私はまた新しい体験が出来る。素晴らしい作品に出会えると確信した今、これからも重すぎる期待を背負って、でもそれを軽々と飛び越えてしまう(血が滲むような努力をしているのだろうけれど、そうとは見せないのはやはりプロだと思う)坂本さんを見ていきたい所存だ。

やっぱりあなたはリーダーだよ!!

 

追記:そういえば、最後に客席に向かって「バーン」ってする坂本さんかっこよすぎて死ぬかと思った。あれはアイドルの顔してたよね。

あと松尾さんに迫ってるとき、一瞬だけ商業用の薄い本が思い浮かんだ。申し訳ない。